更新日:2008年9月29日
創薬の話題5:創薬と研究開発費
日本の大手製薬企業10社の平均研究開発費、1999年では1社当たり433億円、2006年では2倍の858億円に増大し、日本の製薬企業全体での研究開発費は1兆円を越し、売上高の約17%である。
米国の製薬企業全体では、日本のおよそ5倍の約5.8兆円(106円/ドル)の研究開発費を投資している。
2008年7月時点で、USFDAによりに承認された新薬の数は10化合物で、低分子医薬品及び生物学的製剤がそれぞれ8及び2化合物であった。 優先審査が5化合物、すなわち、新規な作用機作を有した化合物は5個で、その他は類似の作用を有した化合物で、新薬の開発が年々困難になっている(PDF:研究開発費と創薬:参照)。
世界で約10兆円の研究開発費を投資しているにも係わらず、何故、このように新薬が生まれないのであろうか?
多くの原因が考えられるが、少なくとも現状のやり方を打破し、革新的な研究開発に取り組まなければなければならないであろう。
現在、一個の新薬を開発するのにおよそ1200億円の研究開発費と10年の年月を要すると云われており、新薬開発の道のりは非常に長く遠いと云わざるを得ない。
それだけに、21世紀の新薬開発には、旧世紀の古いテクノロジーやコンセプトを棄て、革新的なツールやテクノロジーを駆使し、できるだけ速やかに安全性と有効性の優れた医薬品を患者さんに届けなければならない。
新薬の研究開発は、開発候補薬物を創製する創薬研究とその候補薬物を前臨床試験、臨床試験を通して有効性及び安全性を確認し、製造販売承認を得る開発研究からなる。
現在、満足した治療薬がない疾患も数多くあり、また、治療薬があっても様々な問題を抱えた薬物も少なくない(SPDF1)。
創薬研究の流れを図1に示したが、もっとも大切なことは創薬テーマの選択、どのような領域でどのような治療薬をどのような戦略で研究開発していくかであろう。
研究テーマが決まれば、シーズ探索→アッセイ系の確立→リード化合物創製→リード化合物最適化を経て、物性、生物活性、薬理活性、毒性、薬物動態等がある程度満足できる開発候補薬物が選択され、開発研究のステージへ進む。リード化合物が4個あれば、開発候補薬物を1個創出できればよいと云われている。
従来、創薬研究は、有機合成研究者や薬理研究者の勘と経験を頼りに微生物が産生する物質や天然の薬物を出発に取組まれてきた。
しかし、現在では、近年の生物医学やITの進歩により、特に、一連の創薬プロセスのすべてにゲノムサイエンスを幅広く取り入れ、より科学的および合理的に開発候補薬物を創出する、いわゆるゲノム創薬へと変化しつつある。
今後、図に示すように多種多様なテクノロジーやツールを如何に駆使するかが企業の新薬創出力を左右するのではないかと予想される。